「自立して学ぶ力」について

夏休みが終わり、まとめを意識しなければならない時期になりました。
9月からは、今まで積み上げてきたものを振り返り、そして、これから何をしなければならないか、あるいは、どんな成長を果たさなければならないかを考える大切な時期とも言えます。

 

これからの大切な時期に、皆さんに身に付けていただきたい力の一つに、本校の目標である「自立・自律した人間として成長」することがあります。
「自立・自律した人間として成長し、自ら取り組む力」を身に付ける第一歩は、確かに、「自らやらなければならないことに積極的に取り組む」とか、「与えられたことに自ら取り組む」ことを挙げることが出来ます。しかし、その事を積み重ねても、これから皆さんが求められる「自ら考え抜き、自立して学ぶ力」や「自分なりの問いを立てて、自分なりのやり方で、自分なりの答えにたどり着く探究力」を身に付けることは難しいと思います。

そこで、今回は、「自立して学ぶ力」について考えて欲しいと思い、森下典子著の『日日是好日』を紹介したいと思います。

『日日是好日』は、著者の森下典子さんが茶道を始めてからの25年間を描いたエッセイです。就職活動の失敗や失恋、父の死という悲しみを経験しながらも、「お茶」からさまざまな気づきを得ることで、自分と向き合ってきた日々を綴っており、2002年に刊行されてから15年以上経った今でも読み継がれています。また、映画化もされ、2018年9月に他界した樹木希林さんが茶道教室の先生役を演じたことで知っている人もいるかもしれません。

 

図書館にも文庫本で置いてありますが、ぜひ、購入して、じっくり読んでください。慌てず、心にしみこませるように、熟読してください。必ず、何か残るものがあるはずです。
最後に、「自立して学ぶ力」について関連した文章を紹介します。

 

一つは、「まえがき」より、
世の中には、「すぐわかるもの」と、「すぐにはわからないもの」の二種類がある。すぐわかるものは、一度通り過ぎればそれでいい。けれど、すぐにはわからないものは、フェリーニの『道』のように、何度か行ったり来たりするうちに、後になって少しずつじわじわとわかりだし、「別のもの」に変わっていく。そして、わかるたび、自分が見ていたのは、全体の中のほんの断片にすぎなかったことに気づく。

という文章です。
※フェリーニの『道』とは、フェリーニ監督作品のイタリア映画。

文中にも記述があります。
もう一つは、「第十四章 成長を待つこと」より、
本当を知るには、時間がかかる。けれど、「あっ、そうか!」とわかった瞬間、それは、私の血や肉になった。もし、初めから先生が全部説明してくれたら、私は、長いプロセスの末に、ある日、自分の答えを手にすることはなかった。先生は「余白」を残してくれたのだ‥‥‥。
という文章です。

それ以外にも多くの教えや心に残る文章がありました。期末試験後に熟読を勧めます。

 

- - <今月の推薦図書>- -

今月、推薦するのは、遠藤周作氏の小説3冊とエッセイ1冊です。

 

小説
「沈黙」      新潮社
「死海のほとり」  新潮社
「キリストの誕生」 新潮社

エッセイ
「イエスの生涯」  新潮社

 

宗教(キリスト教)を題材にした作品ですが、そこに止まらず、「人間の弱さ」「悲しさ」などを扱った作品となっています。高校時代にぜひ読んでもらいたいと思います。まず、「沈黙」から読むことを勧めます。