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2021/05/01

知性について

日本経済新聞のコラム「文化」の紙面で作家、小説家の海猫沢めろん氏が「知性について」次のように書いていました。

 

そもそも賢いとは 、知性とはなんだろうか?例えばある分野においては、すでに人間よりもプログラムの「AI」のほうが賢い。ではAIには知性があるのだろうか?これはなかなか難しい問題だ。なぜなら時代や状況によって「知性」に求められるものが違うからだ。原始時代は、餌を多く確保できる生物が最も知性的だっただろう。しかし近代においては社交的だったり、言葉をうまく使えたり、複雑な計算ができたり、そういったことが知性だと言われ始める。今はどうだろうか。人よりお金を多く稼げたり、社会的に高い地位だったり、影響力があったり、そうしたことが知性だと思われているような気がする。確かにそこでは「無知の知」なんて無力である。

〈中略〉

しかし、だからこそ私は気づいた。「無知の知」の本質は、知性ではなく「品性」ではないか。知性だけを誇る人間に対して、その傲慢(ごうまん)を静かに諫(いさ)める賢者的態度。今や知性よりも「品性」ほうが貴重になりつつある。

〈後略〉

 

長いコラムでしたが、皆さんに伝えたい部分だけ抜粋しました。
私は、皆さんによく「整った器にこそ学力が宿る」と話します。人間力が身に付かなければ、学力は身に付かないと思っています。また、例え、学力だけが身に付いたとしても(私は決してそんなことないと確信していますが)、そんな学力は意味がないし、役立たないと思っています。

「品性」を持った「知性」を身につける意義は、「様々な集団の中で自己の能力を発揮できるか」にあると思います。「品性」を持つことで、豊かなコミュニケーション力を発揮できることになります。それによって、自分自身も生かせ、多くの人も穏やかな気持ちを持つことになると思います。

 

風薫る5月となり、気持ちの良い季節となりました。厳しい状況は続いていますが、だからこそ、何事にも、誠実に対応し、自分と同じように他人も大切にした行動をしましょう。これからも、お互いに頑張りましょう。

 

- - <今月の推薦図書>- -

 

今月も推薦図書を2021年本屋大賞ノミネート作品の中から選びたいと思います。令和3年4月21日現在で、ノミネートされた10冊を読み切りました。

『推し、燃ゆ』(宇佐美りん/新潮社)
『オルタネート』(加藤シゲアキ/新潮社)
『逆ソクラテス』(伊坂幸太郎/集英社)
『52ヘルツのクジラたち』(町田そのこ/中央公論新社)
『八月の銀の雪』(伊与原新/新潮社)
『犬がいた季節』(伊吹有喜/双葉社)
『この本を盗む者は』(深緑野分/KADOKAWA)
『自転しながら公転する』(山本文緒/新潮社)
『滅びの前のシャングリラ』(凪良ゆう/中央公論新社)
『お探し物は図書室まで』(青山美智子/ポプラ社)
の10冊になります。

 

本屋大賞作品が決定する4月14日(水)までに読み切りたいと思っていましたが、間に合いませんでした。大賞が『52ヘルツのクジラたち』(町田そのこ/中央公論新社)、2位が『お探し物は図書室まで』(青山美智子/ポプラ社)、3位が『犬がいた季節』(伊吹有喜/双葉社)でした。
皆さんに紹介した作品が上位になりました。この3冊に共通していることは、読書後、心が温まり、優しい気持ちになれることだと思います。

 

今月勧める1冊は、最後に読み、3位にもなった『お探し物は図書室まで』(青山美智子/ポプラ社)を選びました。この作品もまた、心に残る作品でした。読書記録を見ますと、私を含めて、まだ3人しか読まれていません。
本当に、素晴らしい作品ですので、皆さんにもぜひ読んでいただきたいと思います。