校長 その日その日

Principal Day by day

校長 その日その日

 

2026/04/10

(4/8)君の命は、当たり前ではない――高校入学式

8日(水)は高校の入学式でした。前の晩は大風!残念ながら咲き残っていた桜花はほぼ散ってしまいましたが穏やかな晴天に。中高一貫部169名・高校部484名の計653名を保護者の方とともにお迎えしました。

↓ 部活動生徒に歓迎されながら、会場へ…

↓ 開式に先立ち、和太鼓部・吹奏楽部の歓迎演奏

 

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さて式辞です。昨日の中学入学式とは違うものを用意するのは当然です。

 

<令和8年度高校入学式 校長式辞>(概略)

昨夜の花散らしの風もやみ、抜けるような青空が、皆さんの門出を祝福しています。総勢653名の皆さん、ご入学、本当におめでとうございます。保護者のかたとともに皆さんをお迎えできることは、この上ない喜びです。

さて、私の「この上ない喜び」というのは、社交辞令ではありません。

なぜなら、皆さんは15年前の今頃、未曽有の被害をもたらした、東日本大震災の前後に生まれた人たちだからです。当然覚えていらっしゃらないと思いますが、あのとき各地で、学びどころか私たちの日常が、大きく断ち切られました。※新入生は2010年度生まれ。震災は2011.3.11

 

多くの人々が気づいたのは、家に明かりが灯ること、明日学校に行けば、また友人に会えるという日常が、実はとても「幸せなこと」だったのだ、という事実です。

だからこそ私たちは、当たり前を当たり前と思わずに、日々を貪欲に過ごしたいものです。

なぜならそれは、心身の充実をもたらすことを、この春の卒業生たちも示してくれているからです。

 

例えばAさんは生徒会に所属し、自ら進んで私とともに毎朝、校門で挨拶に立ち続けてくれました。「小学校の教師になりたい」と笑顔で力強く語り、その道へ進んでいきました。

剣道部だったBさんは、勉強も部活も手を抜かず留学プログラムにも参加し、インターハイ予選では県大会まで勝ち上がり、引退してからは「図書館で見かけない日はない」ほど勉強し、みごと難関国立大学に進学していきました。

 

ほかにも多くの先輩たちが、「この3年間で人生が変わった」、「この仲間を絶対忘れたくない」といった言葉を残していっています。

彼らの姿に、古代の思想書『論語』の言葉が思い浮かびます。

学は及ばざるが如くせよ、なおこれを失わんことを恐れよ」

つまり、「学問をするとき、自分はまだ十分でないと謙虚に思え、しかも学んだものは失わない、という気概をもて」という意味です。

 

学問に限らず、日々の生活を「これは当たり前なんかではない、まだまだもっとやれるのだ」と考える人、自分に言い訳をしない人こそ、真の意味で向上し、充実した日々を送れるのです。

 

幸い皆さんには、温かいご家族と、健康な体があります。

それを支えに、授業でも学校行事でも部活動でも、3年間は当たり前の時間ではない、全てを取りこぼしてなるものか、という貪欲さで取組んでください。そうすれば必ず、紹介したような先輩たちの後に続くことができるでしょう。

 

保護者の皆様、お子様のご入学、あらためてお祝い申し上げます。15年前のあの日を経て今日まで、お子様を見守ってくださったことに、心から敬意を表します。

今申し上げた『論語』の言葉は、大人にも向けられたものです。この日常を精いっぱい生き、子どもたちにその背中を見せること。本校の創立者、松崎庚子良も、校訓「愛 知 和」、子供の運命は、つねにその親がつくると言い残しています。当コラム「子供の運命は、つねに…」

 

例えば良書を読む・美術館に足を運ぶなど知的生産を続ける大人。家庭で良好なコミュニケーションが図れる大人。そんな背中が、高校生たるお子様に、希望と安らぎを与え、大人への敬意を生み、進路意識や将来の社会参加意識を育むのではないでしょうか。

 

結びに、新入生の皆さん、今日の入学はいわば水平線です。ゴールだと思ったら、またさらに新しい景色が前途に広がっているのです。

私たちとともに帆を上げ、風を受け、着実に進んでいきましょう。3年後、皆さんが残してくれる言葉を楽しみに、ご入学のお祝いの言葉といたします。

 

令和8年4月8日

大宮開成高等学校 校長 松﨑 慶喜

 

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――15年前。計画停電・ガソリンスタンド渋滞・食の安全性の問題…。あの当時、保護者の皆さまは生まれて間もないわが子を必死に守ったはず、不安と戦いながらの子育てであったはず、と思い起こし、「当たり前を、当たり前と思うな」という主旨が浮かんでまいりました。

 

赤ネクタイの皆さん。守られたその「命」で高校生活を、人生を、精いっぱい生きていこう。