校長 その日その日
Principal Day by day
Principal Day by day
2025/06/17
中高一貫部において、今週後半から校外研修が相次いで行われます。
20~22日 中1サマーキャンプ
20~23日 中2奈良京都伝統文化研修
19~22日 中3沖縄国際平和研修
20~23日 一貫高2チャレンジキャンプ(中1と同場所、交流も)
このなかで、今年度から本校「NEXT20」プロジェクトの一つとして新たに実施するのが「中3沖縄国際平和研修」です。
私は中2の引率責任で奈良京都へ行ってしまいますが、本校がこの時期に沖縄を訪れることは大変感慨深く、意義があると思っています。
なぜなら6月23日が「沖縄慰霊の日」※であるからです。
※さきの大戦で旧日本軍の組織的戦闘が終わった日とされる
日本史教員として大戦のことは教えてきたものの、末期の日本本土での戦闘については、自分の知識では教科書や副読本以上のことは教えられませんでした。
しかし3年前(2022・令和4)、コロナ期で高校の海外研修の代替として広島研修を行った際、事前研修や平和記念資料館などでの生徒の反応から、あらためて中高生段階での平和教育の重要性を身にしみて感じました。
私は、校訓・愛知和を説明するときに必ず「利他の心=他者に思いを致すこと」だと言ってきましたので、ちょうどそのころ中高一貫部でNEXT20プロジェクトの検討が始まったことから、発達段階的にも平和教育を理解できるであろう、中3の新たな校外行事に組み込んでもらった次第です。
あらためて沖縄の歴史をこまごま書くことはしません。
ですが、さきの大戦で唯一、地元住民を巻き込んで直接の戦場となった当時の沖縄を、いかに本土(この言い方も一定の立場が現れている)の私たちが知らないか。
それ以上に、その後の沖縄が本土復帰(単なる行政的な復帰ではなく、基地などの条件も本土と同じような条件で復帰すること)を願いながら、その時々の政治外交と国際情勢に翻弄され、今に至っていること。
↓ 左奥、市街地に接して…国土の0.6%の面積に、日本の「この施設」の75%が集中しています
沖縄史の本をたった数冊読みかじっただけでも、上記のことを思い知らされます。
とはいえとても私は沖縄の代弁者などにはなり得ませんし、何より国際関係・安全保障の問題は高度に複雑で(現にこの数年どころかこの数日でも、欧州や中東でめまぐるしく事態が展開しています)、「何が正解か」一つの見解を持つことは今の私には困難です。
ならばなおのこと、「思いを致すこと」が意味をもつと思っています。
中3は現地で戦争遺跡をガイド付きで訪ねますが、現地の大学生つまり「今の沖縄を生きる若者」との対談もあるということです。もちろん沖縄ならではの貴重な文化・自然とのふれあいもあります。
「思いを致せ」ば、「行動」が生まれるにちがいありません。
「過去(=戦争)・現在(=自然と文化)・未来(=国際平和)のいずれをも学ぶ」(引率責任者・K教頭)、大きな意義を持つこの校外研修。
自国の抱える課題、アジアの国際関係を知ってこそ本当の「グローバル人材」ではないか。最近の説明会で私が言うことです。
中3のニュートラルな目と心は、今の沖縄、これからの日本と沖縄、東アジアのあるべき姿について必ず何かを掴み、紛争をこの世界から少しでもなくす思考・行動につながってくれると信じています。