校長 その日その日
Principal Day by day
Principal Day by day
2025/07/26
「トランプはなぜ大統領になれたか?それは歴史を一つずつ紐解いていくと分かります…」。
なるほどそういうことか…!包み紙を一枚一枚はがすように繰り出されるお話に私は首肯しきり、70分は瞬く間に過ぎました。
――25日(金)午後、「立教大学公開講演会」として本校を会場に、池上 彰先生の講演が行われ、本校中学・高校生希望者、及び保護者約800名が拝聴しました。
池上先生は同大学で客員教授を務めていらっしゃいますが、今回の講演は大学様からのご提案で実現し、かねてより同大進学希望者の多い本校としても大変光栄なことでした。
まず講演前に、立教大学総長・N先生から大学様の概要と教育取組みについて。
続いて同大学へ進学した本校卒業生・Oさんのスピーチ。「高校時代の私は…/立教大学は〇〇が充実していて、私は〇〇に取組んでいます…/今年はもっといろいろなことに挑戦する予定です!」
800名を前に堂々としたスピーチに、舞台袖のN総長先生も池上先生も「立派だね…」と一言。
そして池上先生の講演開始!演題は「歴史から読み解く世界情勢の行方」。
メディアでお見掛けするのとまったく変わらない、終始気さくなお話しぶりです。
――「トランプ当選を理解するには、冷戦の終結、米国のキリスト教 “福音派” の人たちが信じる聖書の教義、そしてその人たちが受けている学校教育にカギがある」
「ロシアウクライナ戦争、太平洋戦争…戦争は始めるのは簡単だが、終結させるのは困難。誰が言ったか “歴史は繰り返さないが韻を踏む” の状況だ」
「大切なのは、“歴史の教訓から何を学ぶか” だ。歴史は暗記じゃない、因果関係。なぜ私たちが今ここに存在しているのか、を考えること」etc.…
↓ 70分間私はメモを取りっぱなし!紙は真っ赤になり2枚目に及びました
――先生が講演を終えられ質問時間となると、会場生徒から無数の挙手が!!
「ロシアウクライナ戦争はいつ終わるとみていますか」(男子)
―戦利面で双方のメンツが立たない限り、残念ながら終わらないでしょう。
「大阪関西万博、初めは不評ばかりだったのに今は賞賛、なぜですか」(男子)
―カジノ政策のことや、地元関西と関東ではメディアの取り上げ方(=関心度)が違い、それが一因かも。
「どうしたら僕たちは賢い政治を選択できますか」(男子)
―参議院選挙で一部の政党が外国人排除をうたっていたけど、選挙後その党首が撤回していたね(笑)。他の政党だって本当か?と思うような公約を掲げていた。雰囲気で政治を選ぶのではなく「ファクトチェック」の力を身に付けよう。
「トランプ関税のように今後日本が他国に振り回されないためには?」(女子)
―そもそも15%の関税は米企業が払うのだからトランプさんの言い分は変だね(笑)。いずれにしろ米国に頼らない、米国以外の国との付き合いを考えていくことが必要でしょう。
――残念ながら質問時間終了、最後に池上さんはこう結びました。
「皆さんの “学べる環境” は恵まれている。保護者の力があることを忘れないで」
「アフリカ・ジブチの難民キャンプでの女子中学生が忘れられない。『将来医者になりたいから、キャンプに高校をつくってほしい』といわれた」
「ぜひ皆さんの立場で、将来社会のために役立てることを、今から考えてほしい」――
本校生が真摯に、現代社会の課題の当事者意識を持ってくれていることを心強く思うとともに、池上先生の的確な、豊富なご経験に基づくお答えもまた膝を打つことしきりでした。
講演後、お疲れにも関わらず控室にてお話しできたこともまた光栄でした。今も大学授業の傍ら、1年の半分は取材・研究のため世界各地を回られるというご多忙さです。
↓ 左から本校進路指導部長S教諭・池上先生・卒業生Oさん ※許可を得て撮影・掲載しています
池上先生、本校でのご講演、生徒への温かいお言葉にあらためて感謝申し上げます!
大学とジャーナリズムのお仕事の両立はさぞ大変かと存じますが、今後のご活躍を心からお祈り申し上げます。
立教大学総長様、広報室ご担当様、各取材メディア様にもこの場を借りて心から御礼申し上げます。