校長 その日その日

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校長 その日その日

 

2025/08/04

(8/4)果てしなき鉄路の世界――鉄道模型コンテストの生徒たち

昨日3日(日)、ちょっと珍しい?引率をしてきました。

本校鉄道研究同好会が「第17回全国高等学校鉄道模型コンテスト」(同実行委員会主催)に参加したのです。8/1~3にかけて行われ、今年は全国の高校・高専など約180校が参加しました。

 

↓ 新宿・住友ビルの通称「三角広場」が恒例の会場。参加生徒・保護者・親子連れなど一般の方々で大賑わい

各校は長さ90×幅30センチほどのボードに、思い思いの鉄道情景を製作。会場に持ち込み、隣どうしの学校と線路をつなぎ合わせると、会場に「巨大な模型鉄道路線」が出現し列車が走り抜けるという趣向です。

↓ 本校部員たち。ちょうど来場者に本校作品を説明中

↓ ダイヤ過密な首都圏では珍しい踏切で、路線の輻輳も魅力とのこと。校長も高校時代、この付近の予備校にお世話になっていたので何となく分かります

 

――作品は展示だけでなく、特設ステージでのプレゼンがありました。各校5分、作品への思いや工夫・苦労した点をPR。

↓ まもなく出演、緊張の打合せ。手前は部長の2年生Tさん

↓ プレゼンを終え安堵。OB(右3人)も駆けつけてくれ、後輩たちのお昼の買い出しの優しい心遣い!

 

――ただの鉄道好きのお祭り、と侮るのは適切ではありません。なぜなら、彼らのテーマ選択・ストーリー設定・表現力技術力は、大人が思いつかない・真似できないレベルのものばかりだからです。

 

建物なども市販品をそのまま使うのではなく、ボール紙やプラスチック棒、なかには3Dプリンタ!で一から製作したものも多くありました(設計図面も自分たちで引くという)。

 

多いのは海や山、観光地のような実在の鉄道情景を再現する作品ですが、自分の学校とは遠く離れた場所を取材して再現したり、抽象的なテーマ、SF的な作品、戦後80年を意識した作品もあり驚きました。

 

 

以下、印象深かった他校さんの作品です。ブースで生徒さんたちが熱心に説明してくれました。

↓ 京都辺りのイメージを凝縮。稲荷様や有名なお寺を自作。川も素敵

↓ 見事な桜並木

↓ 熊本城、足元には観光客が大勢。全て一から作ったそうです

↓ 奥羽地方の秋。「こっちの紅葉は関東みたいに山全体が赤くなるのではなく、部分的に紅葉するのを色合いもこだわって表現しました

↓ こちらも東北地方。関東の学校さんですが実際に取材し製作。「昔、直流と交流の接点として賑わっていた駅です。昔の駅施設(転車台:中央奥)も残っているんです※蒸気機関車の向きを変えるための施設

↓ 山陰の学校さんはSF的表現がユニーク。模型の廃材を有効活用

↓ 板橋区にある私鉄沿線の某商店街を再現。手前で選挙の候補者が演説中

↓ 長崎の学校さん「戦後80年への思いを込めました」。被爆直後の浦上天主堂、被爆クスノキ、そして壊れた懐中時計は11時02分を示し…

↓ 私「君たちこの時代知ってるんだ?!」、生徒さん「当時の写真をみて全部一から作りました。太陽の塔は紙粘土で縮尺も正確に。人形の服装は当時のモードに塗り、修学旅行生(右端)で棒を持っているのは木刀を買った生徒です(笑)」―本校中学とよく併願される都内の学校さん、観察力も想像力もさすが!

↓ 「函館山は山上からの眺めばかりが有名ですが、倉庫群や有名な焼き鳥弁当のお店も再現したのでぜひ港側から見上げてください」、函館もお弁当も未経験ですが行った気になれました

↓ 常連校の女子校さんは、宮崎駿監督の某作品に出てくる家(左奥。映画は京王沿線がモデルとも)を再現。私は詳しくありませんが作り込みの丁寧さ、優しさを感じる作品でした

 

――どの学校も作品の出来・不出来ではなく、限られた予算・材料を工夫しながら、作品に愛を注ぎ表現に自信をもっていたのを感じました。

 

中高生は”2次元ネイティブ世代"どころか、3次元でも時間・空間をも超越した自在な表現ができるのだ、模型とはいえ鉄路が結ぶ世界は果てしないな――昭和世代の私はひとしきり感動して会場を後にした次第です。

 

関心のある方は →第17回全国高等学校鉄道模型コンテスト(外部リンク)