校長 その日その日

Principal Day by day

校長 その日その日

 

2024/01/06

(1/6)2024年、生徒への期待――開始集会講話から

6日(土)新年最初の登校日、校長は中学・高校それぞれの「開始集会」にて、以下のように講話しました。

年初であるので “ 原点に返る” 的な内容とし、

かつ中学生はメディアリテラシー(情報活用・批判力)の観点から、高校生は積極性を獲得してほしい願いから構成。必ず身近な具体例を交えるのは私のいつもの手法です。(以下、要約)

 

<中学開始集会:「冷静に情報に接しよう」>

――今回の震災で、SNSが救助に役立っている、というニュースは知っていると思う。

だが一方で「ニセの救助依頼」や、「地震は人工地震」「募金を受け付けている」「外国人窃盗団が現地に向かっている」といったデマや、東日本大震災の津波動画までも流されているという。被災した方々の心を踏みにじる行為、差別行為として、私は許せない。

 

私たちは悪意に「加担する」人間になってはいけない

スマホの情報を「これって本当なのか?」と疑う習慣を付けたいものだ。

スマホは、アルゴリズムという仕組みで、使用者が普段接している情報に合わせて、同じ傾向の情報が次々に流れてくるようにできている。

だから、いちど興味本位で不確実なニュースや映像を見ると、それに合わせて次々と似たような情報が送られてきてしまう。

いつの間にか「自分の意見は皆も同じ」とか「自分以外はみんな間違い、嘘だ」と思い込んでしまう。大人でさえも!だ。過去にアメリカの大統領選挙で実際に起きている。

 

皆さんは何のために、学校で様々な教科を学ぶのだろう?

それは、物事を多角的に、論理的・科学的に考えられるようになるためだ。

例えば「人工地震」などと聞いたら、鼻で笑えなくてはならない。今回のような規模の地震を人工で起こすのは現実的には不可能だ理科を学んでいれば気付く。

 

私たちはなぜ、学校や社会で他人と一緒に学んだり働いたりするのだろう?

それは、世の中には異なる意見がたくさんあることを知るためだ。おそらくデマの発信者には、周りに良い友達や家族、先生がいないのだろう。気の毒だ。

私たちは被災した方々を直接助けることはできないが「情報に冷静に接すること」で、間接的に助けることはできる。

2024年、授業やプレゼン活動を通じ、今まで以上に適切に情報に接せられる人間になろう。――

 

 

<高校開始集会:「チャンスをつかむ人間に」>

――新年、箱根駅伝を見ていた人もいるだろう。どの大学チームも、監督は実際に走る10人のメンバーをスタート直前=1時間10分前まで変更できる。

だから直前で「自分のはずだったのに」と悔しがる選手、逆に「自分に回ってきた!」と奮い立つ選手もいるわけだ。

しかしどの選手も、4年の間に本当に回ってくるかどうかわからないチャンスのために、常に最高のコンディションを整えているに違いない。

 

私たちは常に「チャンスをつかむ準備」はできているだろうか?

 

準備のない者は、仮にチャンスが巡ってきても十分な結果を出せるはずがない。そして「君にはもう頼まない」となり、再びチャンスが巡ってくることはないだろう。

勉強や部活動で、望むような結果が出なかったとき。「問題が難しかった」「相手が強かった」というかもしれないが、結局「準備が足りなかった」だけではないか?

 

「チャンスをつかむ人間」になれる秘訣が2つある。とても簡単なことだ。

 1つは「心を開く習慣をもつ」こと。例えば挨拶

挨拶は、外に向けて心を開く一番簡単な行為。心が開いている人には、大事な仕事とか人の縁、つまりチャンスが近寄っていく。心を開くから、人の話が謙虚に聴けて、様々な知識が頭に入る。すると自分の人間的魅力が高まって、もっと人の縁や大事な仕事が寄っていく――好循環だ。

 

もう一つは「身だしなみ」

身だしなみというものは、良くも悪くも「自分」を規定する。

自分が身だしなみよく、非の打ちどころのない服装だ、と自覚することで、自分に自信が湧き、自分への信頼が増し、自尊心が高まる。自分を信頼できる人は、輝いて見える。すると当然、他人からも信頼され、大事な仕事や人の縁、つまりチャンスが寄っていく。

 

ちなみに挨拶や身だしなみは、就職活動とかでいきなり身に付くものではない。それまでの生き方そのものだからだ。例えば本校の教員採用に来る人でも…。

 

皆さんは将来、一定の立場に立つ人だと思う。

箱根駅伝とまでは言わないが、ぜひ「チャンスをつかむ人間」になってほしい。だから「挨拶」「身だしなみ」、些細なことだと馬鹿にせずに実践してみよう。それにより2024年が希望のもてる1年になるよう願っています。――